防災ワークショップ:『不便さ』の共有

11月13日(日)アイランドシティ防災セミナー3『LIFE+design』ワークショップを実施しました。

今回は福岡ビジネス創造センターを避難所と想定して、そこでの生活をシミュレーションしてみました。
先生やスタッフもすべて加わって32名。小さな赤ちゃんを含む様々な年齢の男女による共同生活。限られた空間と限られた物資で必要なものはなんだろう。。。

始めに、今回使用する段ボールの使い方、道具の使い方について津田さん(九州大学大学院芸術工学研究院、技術支援スタッフ)よりレクチャーがありました。今回メインで使用したのが段ボールのこぎり『だんちゃん』!これがかなり段ボールを加工するのに活躍しました。津田さんの話によると、このだんちゃん、冷凍食品など固い食品をカットするのにも役立つとか。意外に被災時にあると良いグッズの一つなのかもしれませんね。

レクチャーのあとはグループに分かれてどんどん作業をすすめます。















それぞれ6〜10名のグループで、こどもも大人も協力してすすめます。スペースを決めて、段ボールで壁面や床を作って、生活スペースを確保します。通常1人辺りに与えられる空間というのは半畳とのこと。
かなり窮屈です。。。

ひとまずスペースができたら今度は生活に必要なものを作ります。
この辺りからグループごとに構成するメンバーなどによって、違ったアイデアが次々に生まれているようでした。















女性の多いこのグループでは始めに更衣室を作ろうという話になったようです。


























ここは、さまざまな生活のシーンを想定しています。一人になりたいときにすこしほっとできる閉じられた空間。















こういう場での合意形成はなかなか大変です。子どもも交えての多数決をとっています。















乳幼児のいるこのグループはまずベビーベッドから。熱環境や衛生環境の保証できない状況で、小さな赤ちゃんの健康を守ることは命に関わる問題です。

作業をスタートして約2時間後、救援物資が届きました。『これだけ!?』とみんな驚いていました。
そこで、この物資を各グループに分けるのですが、どのようにわけようか、とみんなで考えます。
何を決めるのもみんなで考えて合意形成をする、なかなか大変なことです。

実際の現場では、それぞれに等分の食料がわたる状況になるまで物資が配給されないこともあるとか。分けるのも大変ですが、あっても食べられないこともあるのですね。

食料配分で意外にも大変だったのが、アレルギーの問題でした。今はアレルギーを持っている人も多いので、食料配分に関しては、見過ごせない問題です。今回は、参加者みんな積極的に回りの人とコミュニケーションをとろうとしていたため、自主的に食べられないものを認知することができましたが、実際はきちんと把握できるのかどうか・・・課題となりそうです。


なんとか食料配分も終了し、食べながら、他の人のところを回り、ワークショップについて振り返りました。そして最後は各グループごとにプレゼンテーション。工夫したところなどを発表したり、感想を言ったりしました。折りたたみの机や、柱をかねた収納など機能的なアイデアもたくさんありました。
そして、もう1つ面白い発見がありました。

テーブルの上に段ボールで作ったクリスマスツリーやお花、ポストを作っているグループもありました。
生活に必要なもの、その一つはコミュニケーションや生活の豊かさなのだなぁと思いました。

様々なストレスにさらされる避難所においては、長期にわたればわたるほど、小さなストレスの積み重ねが命に関わることもある重要な問題です。そんな中、少しでも豊かな生活をできるようなアイデアを生み出して、楽しく作る事、そして生活を豊かにしようとしていくことはとても大切なことだと感じました。




最後に参加者の感想をいくつかご紹介します。

「実際にやってみないとどういう状況になるかわからないので、今回気づいたことが多かった。」
「グループのリーダー的存在がいることが重要なのだと感じました。」
「この状況が長期にわたると考えると深刻にとらえなくてはと思いました。」

そして先生方が今回のワークショップでみなさんが「不自由さを共有したこと」の重要性をお話してくださいました。

今回のワークショップの様子は12月17日に実施する防災訓練の時にも展示発表したいと思いますので、今回参加された方も参加できなかった方も、どうぞ見に来てくださいね!

参加してくださったみなさん、お疲れ様でした!
そして、講師をしてくださった九州大学大学院芸術工学研究院の池田美奈子先生、田上健一先生、津田さん、ありがとうございました!!